イオン結晶とイオン結合 イオン結晶の融点・沸点・電気伝導性などの性質
高校化学においてよく結晶の種類に関する問題が出題されます。
結晶には、イオン結晶、金属結晶、共有結合結晶(共有結晶)、分子結晶などがありますが、これらの違いについて理解していますか。
中でもここでは、イオン結晶や関連するイオン結合などの知識について解説していきます。
・イオン結晶とイオン結合
・イオン結晶の性質 融点・沸点・電気伝導性
というテーマで解説していきます。
イオン結晶とイオン結合
イオン結晶とは、イオン結合によって原子同士が結びつき結晶となっている物質のことを指します。別名イオン化合物やイオン結合結晶、イオン結合性結晶なととも呼ぶ場合もあります。
代表的なイオン結晶には塩化ナトリウム:NaClなどがあげられます。
以下のようなイメージです。
具体的には、陽イオン(上例ではNa+)と陰イオン(上例ではCl―)が静電気力:クーロン力によって引き寄せられることがイオン結合の正体です。
このイオン結合はファンデルワールス力をはじめとした分子間力と比較すると、大幅に強い結合といえます。ただ、共有結晶(共有結合性結晶)と比べると、若干の力は低いです。
つまり、共有結合>イオン結合>金属結合>分子間力となることを覚えておきましょう。
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イオン結晶の性質 融点・沸点・電気伝導性
このようにイオン結合によって原子が固定されてできるイオン結晶ですが、どのような性質があるのでしょうか。以下で確認していきます。
水に溶けると電気伝導性を持つ
イオン結晶の代表的な特徴の一つに溶媒に溶けて、陽イオン(カチオン)と陰イオン(アニオン)に電離することがあります。
例えば、先述した塩化ナトリウムであれば、水に溶かすと、ナトリウムイオン(Na+)と塩化物イオン(Cl-)に電離します。
以下のような状態です。
結果として、水溶液が電気伝導性をもつようになるのです。
ただ、常温では基本的に固体のものが多く、基本的に電気伝導性がないです。イオン結合によって比較的強固に結びついているためです。
また、静電気力によって結合しているためイオン結合の大きさはイオンの電荷や距離のみに依存し、方向性もありません。これは共有結合などの電気陰性度の差によっておこる結びつきとは異なります。
(例外的に常温下で液体のイオン性結晶も存在します。このような物質をイオン液体と呼び、その特異的な性質からさまざまな分野への応用が検討されています。当サイトのメインテーマでもあるリチウムイオン電池の電解液としても徐々に普及しつつあります)。
融点や沸点が高い なぜ融点や沸点が高いのか
また、イオン結晶は融点や沸点が比較的高いという性質を持ちます。
これは先にも述べたように、イオン結合の力が比較的強いことが要因の一つです。物質が状態変化するということは各結合が切れることとも相関があります。つまり、原子間の結合が強ければ、結合が切れにくいため状態変化しにくいのです。
よって、状態が変わることを起こすにはよりエネルギーが必要となります。結果として、融点や沸点が上昇するのです。
このようなメカニズムによって、イオン結晶では融点や沸点が高くなります。
硬くて脆い
さらに、イオン結晶は硬くて脆いという性質も持ちます。
これもイオン結合の強さが主な理由です。また、金属結晶のように自由電子を持っていないため、伸びたり広がったりすることはなく、脆いうという性質があるのです。
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