抵抗が3つ以上の並列回路、直列回路の合成抵抗 計算問題をといてみよう
物理の問題が解けるようになるには。基礎の部分をきちんと理解しておくことが大事です。
中でも電磁気学における基礎的な内容はさまざまありますが、抵抗の合成に関する問題は頻出です。
ここでは、特に抵抗を3つ使用する場合の並列時、直列時の抵抗の合成に関する内容について解説していきます。
・並列に3つの抵抗がつながれたときの合成抵抗の導出
・3つの抵抗を並列接続時の合成抵抗の計算してみよう
・直列に3つの抵抗がつながれたときの合成抵抗の導出
・3つの抵抗を直列につないだときの合成抵抗を計算してみよう
というテーマで解説していきます。
並列に3つの抵抗がつながれたときの合成抵抗の導出
二つの抵抗を直列接続、並列接続した際の合成抵抗についてはこちらで解説していますが、ここでは3つの抵抗を並列つなぎにした場合の合成抵抗の計算方法について解説していきます。
結論から言いますと、並列に抵抗をつないだとしても合成抵抗の式は二つのときの合成抵抗の形と似ており、以下のようになります。
この関係式を導出していきます。
まず、以下のような抵抗値がR1,R2,R3の抵抗があるとします。
ここで電気回路には、これらを3つ並列につないだ抵抗と電源のみがあるとします。このときの電源の電圧をVとすると、閉回路を形成しているため、これらの抵抗各々には電圧Vが印加されます。
以下のような状態です。
このとき、電源に流れ込む電流値をIとし、抵抗への電流値をI1、I2、I3としたすると、I=I1+I2+I3・・・① という関係式が成りたちます。
さらに、オームの法則より、V=IR合=I1R1 = I2R2 = I3R3・・②という式が成り立ちます。
これを変形すると I = V/R合 、I1 = V/R1 、I2 = V/R2、I3 = V/R3 となります。①式に代入し、両辺をVでわると、 1/R合 = 1/R1 + 1/R2 + 1/R3 という関係式が導出されるのです。
関連記事
抵抗を二つ並列につないだときの合成抵抗
閉回路とは?
オームの法則とは?
3つの抵抗を並列接続時の合成抵抗の計算してみよう
それでは、3つの抵抗を並列接続時の合成抵抗の計算問題も解いてみましょう。
例題
抵抗の数値が1Ω、2Ω、4Ωの製品を並列接続した場合の合成抵抗を算出してみましょう。
解答
上の定義式に従って計算していきましょう。
1/R合 = 1/1 + 1/2 + 1/4 = 7/4 となります。よってこの逆数をとればいいので、合成抵抗 R合=4/7 Ωとなるのです。
並列に抵抗を合成すると、その数値が低くなることを理解しておきましょう。
関連記事
抵抗を二つ並列につないだときの合成抵抗
閉回路とは?
オームの法則とは?
直列に3つの抵抗がつながれたときの合成抵抗の導出
続いて、3つの抵抗を直列つないした場合の合成抵抗も同様に求めていきましょう。
結論から言いますと、直列接続した際の合成抵抗の式は二つの抵抗を直列につないだときの合成抵抗と形と似ており、以下のようになります。
抵抗の数が何個になっても、単純和をとればいいのです。
この関係式について、導出をしておきましょう。
以下のような抵抗値がE1,R2,R3の抵抗があるとします。
電気回路には、これらの抵抗と電源のみがあるとします。このときの電源の電圧をV、流れる電流値をIとしましょう。
閉回路であるため、各々の抵抗に流れる電流の大きさはすべてIとなり、これらの総電圧がVに対応することとなります。
各々の抵抗にかかる電圧をV1、V2、V3とすると、V1=IR1、V2=IR2、V3=IR3 となります。同時にV=V1+V2+V3という式も成立するのです。
よって、合成抵抗をR号とするとV=IR合=I(R1+R2+R3)であるため、R合=R1+R2+R3となるのです。
直列つなぎの抵抗の合成では、単純に各抵抗の値を足すだけということを理解しておきましょう。
(なお、コンデンサーや ばねの合成とは直列と並列の性質が異なりますので、注意しましょう)。
関連記事
二つの抵抗を直列につないだときの合成抵抗
コンデンサーの合成
ばねの合成の公式
3つの抵抗を直列につないだときの合成抵抗を計算してみよう
それでは、3つ抵抗を合成したときの計算になれるためにも、計算問題をといてみましょう。
例題
それでは、3つの抵抗を直列接続時の合成抵抗の計算問題もといてみましょう。
抵抗の数値が1Ω、2Ω、4Ωの製品を直列につないだ場合の合成抵抗を算出してみましょう。
解答
上の定義式に従って計算していきましょう。
抵抗を直列時の合成抵抗なので、単縦に足し合わせていきましょう。
R合=1+2+4=7Ωとなります。
直列に抵抗を合成すると、その値が下がることを理解しておきましょう。
関連記事
二つの抵抗を直列につないだときの合成抵抗
コンデンサーの合成
ばねの合成の公式
抵抗が3つ以上の並列回路、直列回路の合成抵抗 計算問題をといてみよう 関連ページ
- SI単位
- 密度とは?比重とは?密度と比重の違いは?【演習問題】
- ミリ、ミクロン、ナノ、ピコとは?SI接頭語と変換方法【演習問題】
- 電位とは何?電位の定義は?
- 電気と電荷、静電気力
- 電流と電荷(I=Q/t)、電流と電子の関係
- コンデンサーと交流
- 電圧とは何か?電圧のイメージ、電流と電圧の関係(オームの法則)
- 直列回路における合成抵抗の導出と計算方法【演習問題】
- 並列回路における合成抵抗の導出と計算方法【演習問題】
- 合成抵抗2(直列と並列が混ざった回路)
- 電力と電力量の違いは?消費電力kWと消費電力量kWhとの関係 WとWhの変換(換算方法) ジュール熱の計算方法
- ジュール熱とは?ジュール熱の計算問題を解いてみよう【演習問題】
- 水の温度上昇とジュールの関係は?計算問題を解いてみよう【演習問題】
- コンデンサーの容量の計算式と導出方法【静電容量と電圧・電荷の関係式】
- コンデンサーを直列接続したときの静電容量の計算方法【演習問題】
- コンデンサーを並列接続したときの静電容量の計算方法【演習問題】
- コンデンサーのエネルギーが1/2CV^2である理由 静電エネルギーの計算問題をといてみよう
- 磁場とは何か?
- 電流と磁場の関係(電流がつくる磁場)
- 電流が磁場から受ける力(フレミング左手の法則)
- ローレンツ力
- 電磁誘導とレンツの法則
- ファラデーの電磁誘導の法則
- 各種電磁誘導の問題の演習
- 磁束と磁束密度の定義・違いは?
- 相互誘導と自己誘導(相互インダクタンスと自己インダクタンス)
- コイルを含む回路、コイルが蓄えるエネルギー
- 直流と交流、交流の基礎知識 実効値と最大値が√2倍の関係である理由は?
- 抵抗、コンデンサーと交流抵抗、コンデンサーと交流
- コイルと交流、交流のまとめ
- 光のエネルギー
- 物質波とブラッグ反射(ブラッグの式)
- 気体分子運動論とは?
- 気体分子運動論とボルツマン定数
- 電流の定義のI=envsを導出する方法
- 角速度(角周波数)とは何か?角速度(角周波数)の公式と計算方法 周期との関係【演習問題】
- クーロンの法則 導出と計算問題を問いてみよう【演習問題】
- 電気回路に短絡している部分が含まれる時の合成抵抗の計算
- 角速度(角周波数)とは何か?角速度(角周波数)の公式と計算方法 周期との関係【演習問題】(コピー)
- 自由落下(自然落下)における速度は? 計算問題を解いてみよう【演習問題】
- ばね定数の公式や計算方法(求め方)・単位は?ばね定数が大きいほど伸びにくいのか?直列・並列時のばね定数の合成方法
- 距離(位置)、速度、加速度の変換方法は?計算問題を問いてみよう
- 静止摩擦係数と動摩擦係数の求め方 静止摩擦力と動摩擦力の計算問題を解いてみよう【演習問題】
- 電流計は直列につなぎ、電圧計は並列につなぐのはなぜか 電流計・電圧計の使い方と注意点
- 単振動における変位・速度・加速度を表す公式と計算方法【sin・cos】
- ホイートストンブリッジにおける計算問題を解いてみよう【ブリッジ回路の解き方】
- メートルブリッジの計算問題を解いてみよう【ブリッジ回路の解き方】
- 単振動における運動方程式と周期の求め方【計算方法】
- 単振動におけるエネルギーとエネルギー保存則 計算問題を解いてみよう
- v-tグラフ(速度と時間の関係式)から変位・加速度を計算する方法【面積と傾きの求め方】
- 相対速度とは?相対速度の計算問題を解いてみよう【船、雨、0となるときのみかけの速度】
- ロケットなどで2物体が分裂・合体する際の速度の計算【運動量保存と相対速度】
- キルヒホッフの電流則(キルヒホッフの第一法則)とは?計算問題を解いてみよう
- 単振り子における運動方程式や周期の求め方【単振動と振り子】