v-tグラフ(速度と時間の関係式)から変位・加速度を計算する方法【面積と傾きの求め方】
高校物理における力学の分野では、速度と時間の関係を表したv-tグラフに関する問題が良く出てきます。
ここでは、このv-tグラフから変位や加速度を求める方法、自由落下におけるv-tグラフなどのについて解説していきます。
・v-tグラフにおける面積が変位(移動した距離)を表す
・v-tグラフにおける台形の面積を求める計算問題をといてみよう
・v-tグラフにおける傾きが加速度を表す 計算問題を解いてみよう
というテーマで解説していきます。
v-tグラフとは?v-tグラフにおける面積が変位(移動した距離)を表す
そもそもv-tグラフとは、ある物体が移動する際の物体の移動速度と時間の関係を表したグラフのことを指します。
速度Velocityのvと、時間timeのtをとりv-tグラフとなるのです。
そして、「変位(位置の変化分)を微分したものが速度であり、速度を微分したものがが変位である」という変位・速度の変換式があるため、v-tグラフにおける面積が変位(移動距離)に相当するのです。
例えば、速度が一定のままであればv-tグラフの面積は長方形を計算すればよく、単純に速度×時間となります。これは、等速度運動における距離を求める公式そのものであることがわかります。
以下のようなイメージです。
他にも速度が変化し、v-tグラフが台形になることもあります。例えば、等加速度運動であれば、速度はv=v0+at(v:速度、v0:初速度、a:加速度、t:時間)であれば、以下のようなv-tグラフとなります。
ここで、長方形であっても、台形であっても、面積を単純に計算して求めれば、変位(距離)を計算することができるのです。
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v-tグラフにおける台形の面積を求める計算問題をといてみよう
それでは、v-tグラフにおける面積と変位の関係を計算するためにも、計算問題を解いて慣れていきましょう。
例題
初速度が3m/s(メートル毎秒)であり、毎秒1m/s^2o加速度で速さが上昇しているケースでの5s間の移動距離はいくらでしょうか。
解答
上の問題の定義から、初速度は3m/sであり、5s後には3 + 1×5 = 8m/sとなっています。これをv-tグラフで表現すると、以下のような台形になるのです。
台形の公式にしたがい、(3 + 8)×5/÷2=27.5mが移動距離(変位)となるのです。
v-tグラフの意味や面積が変位となる理由を上記のよう理解し、力学をマスターしていきましょう。
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v-tグラフにおける傾きが加速度を表す 計算問題を解いてみよう
なお、v-tグラフにおけるvの直線が傾いている場合には、その傾き自体が加速度を示しています。
これは先にも述べたように、速度が直線であれば等速度運動のことを表しており、v=v0+atという公式で表されるためです。
傾きが記号aに相当するのです。
この意味を理解するためにも、計算問題を解いてみましょう。
例題
初速度5m/sであり、10s後の速度が10m/sであるときの、加速度を計算してみましょう。
解答
v-tグラフを描いてみてイメージしてみましょう。
よって、v-tグラフの傾きが加速度に相当するので、(10-5)/10 =0.5m/s2 と求めることができました。
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