ロケットなどで2物体が分裂・合体する際の速度の計算【運動量保存と相対速度】

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ロケットなどで2物体が分裂・合体する際の速度の計算方法【運動慮保存と相対速度】

 

物理における力学の分野ではよく、運動量保存則を適用して現象を解析することがあります。

 

たとえば、ロケットなどにおいて2つの物体が分解・合体する際の速度を計算する問題などが挙げられます。この2つの物体が分裂したり、衝突したりするときの前後の速度を求める方法について理解していますか。

 

ここでは、運動量保存則や相対速度の考え方を使用して、2つの物質が分解・合体する現象の解き方について解説していきます。

 

・ロケットの分裂に関する速度を計算してみよう【運動量保存則と相対速度】

 

・2物体が合体する際の計算問題を解いてみよう【片方が静止時の衝突の問題】

 

・両方が移動しているときの2物体が合体する際の計算問題を解いてみよう

 

というテーマで解説していきます。

 

 

ロケットの分裂に関する速度を計算してみよう【運動量保存則と相対速度】

 

ロケットなどの物体が分解する際の分裂後の速度を求める問題では、基本的に運動量保存則と相対速度の考え方を使用して計算できます。ほぼパターン問題といえるため、きちんと理解しておきましょう。

 

小型ロケットと大型ロケットが組み合わさってできている連結ロケットの分裂を考えます。ここで、小型ロケットの質量はmkg、大型ロケットの質量はMkg、連結ロケットの質量はM+m kgとなるとします。

 


このとき、連結ロケットの初速度がV0であり、途中で速度を上げたいために小型ロケットを相対速度uでロケットの進行方向と逆向きに切り離したとします。このときの、分離後の大型ロケットの速さVについて考えていきましょう。

 

まずは、物体の分離前後のでの運動量保存則を立てていきます。

 

(M+m)Vo = MV + m(V+u) ・・・①となります。ここで、uが正の方向の逆となるために、負の値となることに気を付けましょう。

 

 

この式を整理して、ロケット分離後の速度V=の式に修正していきます。

 

①⇔ (M+m)Vo = (M+m)V + mu ⇔ (M+m)V = (M+m)Vo - mu ⇔ V = V0 - m/(M+m)uとなるのです。

 

ここで、uは負の値であるため、物体が分裂後の速度は初速度よりも大きくなります。これは直感的にもわかるでしょう。

 

今回はロケットという物体のの分裂の速度の問題を求めましたが、運動量保存則が成立する条件であれば、基本的に運動方程式の立式して、式中に相対速度を組み込むと解けます。

 

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弾性衝突と非弾性衝突

 

2物体が合体する際の計算問題を解いてみよう【片方が静止時の衝突の問題】

 

今度は2つの物体が合成されるときの、衝突前後の速度について解説していきます。

 

ある速度をVA(正の方向)で動いている質量Mの物体Aと、静止している質量mの物体Bとが、衝突したとします。このとき、2物体が合体し一体となった速度で移動するときの、この速度を計算していきましょう。

 


 

この2物体の合体の計算問題は、結局は物体の球の衝突の問題における非弾性衝突(反発係数e=0)のときの問題といえます。

 

先にも述べた手順の通り、運動量保存則の式を立てていきましょう。

 

M・0 + mVB = (M + m)V後 という運動方程式が立てられます。

 

よって、単純にV後=mVB/(M + m)となります。

 

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弾性衝突と非弾性衝突

 

 

両方が移動しているときの2物体が合体する際の計算問題を解いてみよう

 

それでは、同様に2物体が動いている際の合成時の速度も求めていきましょう。

 

ある速度をVA(正の方向)で動いている質量Mの物体Aと、同じ方向に速度VB(VA<VB)で移動している質量mの物体Bとが、衝突したとします。このとき、2物体が合体し、一体となった速度で移動するときの速度を計算していきましょう。

 

 

 

2物体の合体においても、MVA + mVB = (M + m)V後 となるため、こちらも単純にV後= MVA + VB / (M + m)となるのです。

 

このように、運動量保存則や相対速度の考え方を使用すると、ロケットなどの2つの物体が合体・分裂する際の速度を計算できることを覚えておきましょう。

 

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