物質波とブラッグ反射(ブラッグの式)
こちらのページでは
・物質波とは
・ブラッグの式・ブラッグ反射とは? 波長との関係
・ブラッグの式の計算問題を解いてみよう【演習問題】
について解説しています。
物質波とは
光は波としての性質も粒子としての性質も持っています(光の二重性)。
さらに光だけでなく、原子や電子などの粒子も同様に粒子としての性質だけでなく、波としての性質も持っています(電子の二重性)。
この粒子が持つ波としての性質のことを物質波、またはこの仮説を立てた学者であるド・ブロイさんの名前にちなんでド・ブロイ波とも呼ばれています。
さらに、波としての性質を持つ粒子の波長は λ = h/p = h/mv で表れます。
また、この波長λの値は非常に小さく、目視では確認できないレベルの大きさです(波長と電磁波の関係はこちらで解説しています)。
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ブラッグの式・ブラッグ反射とは? 波長との関係
また、粒子が波としての性質をあらわすことの実験の一つに波の干渉の性質を利用した実験があります。
これは、大学課程以降のある物質の構造解析でも使用されているXRD(X-Ray Diffraction)、X線回折
と呼ばれる実験装置の原理としても使われています。
この実験とはまず、結晶などの規則的にX線を反射する物質に対して、X線を照射し、その反射線の干渉の条件を見るという実験です(XRDの原理はこちらで解説しています)。
以下に実験のイメージ図を示します。
・結晶面に対して入射、反射するX線の角度をθ [°]
・結晶面の間隔(面間隔)をd[m]
・n=1,2,3・・・
・入射X線の波長[m]
とします。
この2dsinθ = nλ と結晶面と次の結晶面の経路差 2dsinθが波長のn倍(整数倍)であることを表した式をブラッグの式と呼びます。また、先にも述べた流れがブラッグの式の導出方法といえます。
また、このときにブラッグの式が成立しているときの角度のことをブラッグ角とよびます。同時に、結晶面によってX線や中性子線が散乱されることをブラッグ散乱と呼びます。
ブラッグの式においては、呼ばれる最も上の結晶面と次の結晶面の経路差 2dsinθが波長の整数倍(n倍)であると干渉(波長が強めあうこと)が起こります。ここで、dは面間隔を表しています。
この条件のことをブラッグの反射条件と呼びます。別の言い方では、「ブラッグの条件」「ブラッグの法則」などとよばれることもあります。
(XRDでは、基本的にθの2倍の値である2θ(回折角とよびます)を計測し、その半分の値のθをブラッグの式に当てはめます)
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ブラッグの式の計算問題を解いてみよう【演習問題】
このようにブラッグの式の意味は、入射線と反射線の経路差がn倍(整数倍)のときに、波の干渉がおこることを示したものでした。
ただ、実際にはどのようにブラッグの式、ブラッグの反射条件を使用して計算するのでしょうか。
以下で、ブラッグの法則を使用し、各パラメータの求め方を考えていきましょう。
例題
あるシリコン結晶において面間隔、ピークが検出されている結晶面(ミラー指数)、ピークの強度がわかってるとします。
面間隔の値は314pm、波長0.1nmであったとします。このときの回折角2θを計算してみましょう。
解答
以下のブラッグ反射の定義をもとに計算していきます。
ここで、n=1のときを考えてみましょう。
すると、2 × 314×10^-12 × sinθ = 1 × 10^-10 よりsinθを算出しましょう。sinθ = 0.1592 となります。
ここで、エクセルや関数電卓を用いてsin-1関数を使用するとθ=9.16°となります。
(ちなみに、上述したシリコン結晶はp型半導体、n型半導体などの材料であったり、当サイトのメインテーマでもあるリチウムイオン電池の負極活物質(シリコン系)として注目されている材料です。
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