光のエネルギー(光量子仮説)
こちらのページでは高校物理における
・光のエネルギー(アインシュタインの光量子仮説)
・光電効果と光量子仮説
・光電効果のグラフ
について解説しています。
光のエネルギー(アインシュタインの光量子仮説)
光にはエネルギーがあり、そのエネルギーには大きさがあります。
このことを説明するために、光は波の性質と粒子としての性質の両方の性質を持つという仮説を
理解する必要があります。
以前は光は波の性質だけを持つと考えられていました。
しかし、波の性質だけでは説明がつかない事柄があり、光は粒子としての性質も持つという
仮説が立てられたのです。
この仮説のことをアインシュタインの光量子仮説と呼び、具体的には以下の通りです。
光を粒子として考え、光の粒子(光子)1個が持つエネルギーが E = hν = hc/λ で表されます。
つまり、振動数が大きい、波長が短いほど、エネルギーが大きくなります。
光電効果と光量子仮説
光量子仮説を解説しましたところで、次に光電効果について解説します。
突然ですが、コップに水が満タンに入っていることをイメージしてください。
満タンのコップに水をさらに加えると水がこぼれますよね。
光電効果とは、この状況を金属に照射される光と電子の関係に置き換えたものと言え、
下のイメージ図をご参照ください。
具体的には光電効果とは、
「金属に一定以上のエネルギーを持つ光を当てると金属内部の電子が外部に飛び出す現象」
と言えます。
ここで、金属内部から飛び出す電子のことを光電子と呼びます。
また、上に書きましたように一定以上の光のエネルギーのこと、
つまり電子が飛び出すために必要最低限のエネルギーのことを仕事関数と呼びます。
仕事関数は物質によって値が異なります。
光電効果のグラフ
光電効果における、金属に照射される光のエネルギーと仕事関数、飛び出す電子の運動エネルギーには
1/2mv^2 = hν - W という関係があります。
この式を縦軸に運動エネルギー、横軸に光のエネルギーhνを取ったグラフにすると以下のようになります。
また、仕事関数と一致する時の電子が飛び出す最小の光のエネルギーを取る時の
光の振動数のことを、限界振動数と呼び、ν0で表されます。
(※大学課程における電気化学(特に電池反応等)において、金属の電子状態を考えるときに
フェルミ準位という言葉が出てきます。このフェルミ準位と光電効果には似たような関係があります。
興味がある方はこちらを参考にしてみてくださいね)
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