電流密度とは?電流密度と電流の関係を計算してみよう【演習問題】

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電流密度とは?電流密度と電流の関係を計算してみよう【演習問題】

 

このページでは

 

・電流密度とは?電流との関係は?

 

・電流密度を計算してみよう【演習問題】

 

というテーマで解説しています。

 

 

電流密度とは?電流との関係は?

電流という言葉が良く耳にすると思いますが、電流密度という言葉をしっていますか?

 

電流密度はリチウムイオン電池を始めとした電池であったり、めっきなどの電極反応に関する重要な用語です。

 

そして、電流密度の公式は以下の通りです。

 


つまり、電流密度の定義は単位面積あたりに流れる電流のことです。このように、電流と電流密度は変換されます。

 

電池などにおいては、電池性能である一定の面積にどれだけの電流を流れせるかというハイレート特性が求められることが多く、電流密度をあげても作動する電池であるほどハイレート特性も高くなります。

 

以下の計算問題で実際に電流密度の求め方を解説します。

 

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電流密度を計算してみよう【演習問題】

 
以下の例題で電流密度の求め方を考えていきましょう。

 

例題

 

ある導線に電流を6.28A流したとします。この導線は円筒状であり、断面は半径1cmの円です。
この導線に流れる電流密度を求めてみましょう。

 

解答
 
まず、断面積を求めましょう。半径1cmであるため、 S = 1× 1× π =3.14となります。

 

電流値は6.28Aであることを使用し、電流と電流密度の関係式を用いて計算しましょう。すると、電流密度i = 6.28 / 3.14 =2 A/cm^2となります。

 

電柱密度の単位は基本的にA/cm^2と分母はcmを使用することが基本です。これは電気化学的な測定においては、cmオーダーでの電極を用いた試験が基本だからです。

 

 

以下のように、Excelシートで管理しておくと面積を変化させても、すぐに電流密度が計算できるためにおすすめです。

 

 

特にリチウムイオン電池の設計において、捲回式のエレメントの場合では電極の幅や長さから、積層式のエレメントの場合では、一枚あたりの電極の幅や長さ、積層枚数からその反応面積を計算し、電流密度を算出しています。

 

電気化学で代表的な式として、電流密度と過電圧(起電力と実際の動作電圧のずれ)の関係式であるバトラーボルマー式ターフェル式というものが使用されます。

 

また、電流密度に分布があり、その平均値を求めたいときは積分することで電流値を求めることができます。

 

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オームの法則・電流・電流密度・電圧の関係を計算してみよう【演習問題】

 

このように、電流密度は電池などの性能を表す指標としてとても重要です。また、電池における法則として重要なものにオームの法則(V=IR)と呼ばれるものがあります。オームの法則は電池の電圧降下(分極・過電圧)が起こる理由を表しているともいえます。

 

このオームの法則には式中に電流IIが含まれていますが、これは電流密度なのか、電流なのか知っていますか?

 

紛らわしいですが、オームの法則におけるIは電流密度ではなく、電流値を表します。つまり、電流密度iが既知でも、断面積Sと掛け合わせた電流から下がる分の電圧を計算する必要があります。

 

以下の問題を解いて、考えていきましょう。

 

例題

 

断面積が5cm^2の電極に、電流密度iが1A/cm^2で流れているとします。このとくの電極の抵抗は0.1Ωのとき、電圧降下分(IRドロップ分)の電圧はいくらになりますでしょうか?

 

解答
 
I=iS= 5 × 1 = 5Aとなります。 よってオームの法則V=IRより、V(過電圧)=5 × 0.1 = 0.5Vとなります。

 

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オームの法則(V=IR)
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